ラノリンは羊毛由来の油分で、保湿剤・化粧品・外用薬の基剤に広く使われます。陽性の方は接触で赤み・かゆみ・湿疹が出やすくなります。

 

1. まずやること(今日から)

●使用中止:保湿剤・リップ・ハンドクリーム・軟こう/クリームでラノリン系を含むものはいったん停止

●成分確認:「ラノリン」「ラノリンアルコール」「Hydrogenated/Acetylated/Purified Lanolin」などがあれば避ける

●医療機関で申告:処方の外用薬の基剤に含まれることがあるため「ラノリンアレルギーあり」と必ず伝える

 

2. 入っていることが多い製品

●化粧品・日用品:保湿クリーム、乳液、リップクリーム、口紅、ハンドクリーム、ファンデ、ヘアトリートメント、ベビー保湿

●医薬品(外用):一部の軟こう・クリーム・ローションの基剤

●その他:家具ワックスやさび止め(作業で皮膚が触れうる場合は注意)

 

3. 代替のおすすめ

●白色ワセリン(ワセリン単剤)

●「ラノリンフリー」と明記された保湿剤

●グリセリン、スクワレン、ミツロウ(サラシミツロウ)、高分子脂肪酸エステルなどを基剤とする製品

●初回は前腕内側に少量を2〜3日試し塗りし、赤み・かゆみが出たら中止

 

4. ラベルでの見分け方(避ける表記例)

●Lanolin / Lanolin Alcohol ラノリンアルコール

●Hydrogenated Lanolin  水添ラノリン

●Acetylated Lanolin Alcohol  アセチル化ラノリンアルコール

●Purified Lanolin  精製ラノリン

5. よくある部位とコツ

●口唇炎:リップや口紅が原因になりやすい → 「ワセリンのみ」のリップに切替、色つき・香料入りは休止

●手湿疹:ハンドクリームはラノリンフリーへ。こまめに薄く塗る

●バリア低下部位(うっ滞、潰瘍、慢性湿疹部):特に非ラノリン基剤を選択

 

6. 仕事・生活の注意

●外用剤やハンドクリームを頻用する職種は、個人で使う製品を成分で統一

●家族のクリームやリップが肌に付いて悪化することも。共有は避け、成分を確認

 

7. 改善の目安と受診タイミング

●回避後:軽いかぶれは数日〜1週間、慢性湿疹は2〜4週間で改善の兆し

●改善しない、範囲が広い、化膿傾向がある場合は早めに受診

 

8. よくある質問(Q&A)

●少量なら平気? → 体質により微量でも反応。まずは完全回避が基本

 

お花茶屋くじら皮膚科