クロム(重クロム酸カリウム) アレルギー
外観に優れ耐食性にも優れることから,用途としては合金,クロムメッキ製品 皮革製品(革靴.ソファーなど),写真の現像液,セメント,インク(ボールペン・印刷インクなど),マッチの軸木,黄色ペンキ,緑色衣料,緑色ネル生地(表面を起毛させてふんわりとした肌ざわりと保温性をもたせた織物) ゴム,ガラス,トタン,防錆剤, 毛皮処理剤など幅広く使用されている.
●ポイント
・皮革製品やセメント粉じんなど、肌に長時間触れるクロムをまず回避
・汗と摩擦で溶出が増えるため、発汗環境では特に「乾燥・通気・バリア」の3点を徹底
・医療・歯科・職場では「クロムアレルギーあり」を必ず申告(歯科金属、整形用金属、作業資材の選定に影響)
●避ける・注意する製品カテゴリ(代表例)
・皮革製品
■クロム鞣し革の靴、ベルト、手袋、腕時計バンド、財布、カメラストラップ、楽器ストラップ
■建築・作業資材
■セメント、モルタル、コンクリート、クロメート処理金属部材、メッキ部品
・生活用品
■革張りソファや車のレザーシート、革のスマホケース
・産業・職業曝露
■めっき作業、溶接、研磨、塗装、皮革製造・加工、左官・土木建築
・医療・歯科
■一部の合金や器具のクロム成分
・食品
■海藻、魚介類、肉類、馬鈴薯、玉ねぎ、マッシュルーム、紅茶、ココア,チョコレートなど(クロムは生体内で糖質代謝、コレステロール代謝、 結合組織代謝、 タンパク質の代謝の維持に関係しており必要な元素ではある).
●ラベルや表記での見分け方(避けるキーワード例)
・Chrom-, Chromium, Chromate, Dichromate
・六価クロム、三価クロム、クロメート処理、Cr(VI), Cr(III)
・皮革では「クロム鞣し」「chrome-tanned leather」
■交差・関連注意
・ニッケル・コバルトと同時感作の併存が比較的多い
・皮革由来は汗で溶ける六価クロムが問題になりやすいが、三価でも症状を誘発することあり
●回避と代替のコツ
・皮革製品
■植物タンニン鞣し(vegetable-tanned)や「クロムフリー」表記の革へ切替
■靴は吸湿性の高い綿ソックスを重ね履き。新品はまず短時間使用で試す
■革手袋はインナーに綿手袋を併用。長時間密着を避ける
・作業環境
■セメントは使い捨てニトリル手袋+綿インナー、袖口をテーピング。皮膚付着はすぐ洗浄
■湿式作業で粉じん飛散を抑制。局所排気と防塵マスク、長袖保護衣を使用
■SDSで六価クロム(Cr(VI))含有や溶出の有無を確認
・生活
■レザーソファや車のレザーは、長時間の素肌接触を避け、布カバーを使う
■腕時計は布やシリコンバンドに変更
・医療・歯科
■金属選択を要相談。代替合金やセラミック、樹脂系選択肢を検討
●皮膚ケアとバリア
・接触後は速やかな洗浄と乾燥。発汗時は着替えと乾拭き
・微小亀裂にはワセリンなどでバリアを作る。二次感染兆候があれば早めに受診
●よくある落とし穴
・新品の革靴・革手袋による足・手の湿疹
・セメント作業時の「素手+汗・水濡れ」での遅発性悪化
・夏季の革ベルトや時計バンドでの腹部・手首の繰り返す皮疹
・車やソファの革での太腿・前腕の慢性湿疹
●使う前のミニテスト
・新しい革・作業資材は、前腕内側に短時間軽接触を数日試し、赤み・かゆみが出る場合は使用中止



