永久染毛剤のなかの酸化染毛剤の有効成分である酸化染料であり、酸化されると黒色になる。

 

染毛剤関連成分のp-toluenediamine、p-aminodiphenylamine、2,4-diaminoanisole やp-aminophenolなどの成分との交差反応が知られている.

他にベンゾカイン、プロカインやハイドロキノンとの交差反応が知られている。

 

ポイント

・ヘアカラー(特に酸化染毛剤)や黒ヘナ(PPD配合の“ブラックヘナ”)をまず中止

・衣類・レザー・インクなどの濃色染料にも注意

・美容室や医療機関では「PPD陽性」を必ず申告し、代替染毛法を相談

 

注意する製品(代表例)

■髪染め

・永久染毛剤(酸化染毛剤)全般、トーンアップや白髪染め

・“ブラックヘナ”などPPDを混ぜたヘナ製品(純粋なレッド系ヘナは別)

■化粧品・色材

・眉・まつ毛の染色剤(国・地域により禁止の場合あり)、一部の一時タトゥー(黒色)

■繊維・皮革・インク

・濃色テキスタイル染料、革の黒染め、プリンター・コピー関連インク粉と接触する作業

■黒色ゴム関連

・PPD系成分(6PPDなど)を含む黒ゴム環境での間接曝露(黒色ゴムミックスと併存しやすい)

 

ラベル・成分の見分け方(記載例)

・p‑Phenylenediamine、PPD、p‑Aminoaniline、1,4‑Benzenediamine

・Toluene‑2,5‑diamine(PTD/パラトルエンジアミン)ほかPPD類縁

・“Oxidative dyes(酸化染料)”“Permanent hair color”などの表示は要注意

 

交差・関連の注意

・PPD類縁(PTDなど)で交差することが多い

・アゾ染料、パラアミノ安息香酸(PABA)系、ベンゾカイン(局所麻酔エステル)等で関連反応がみられることがある

・黒色ゴムのPPD系アンチオキシダント(例:6PPD)環境での悪化

 

回避と代替のコツ

■髪染め

・「PPDフリー」かつ「PTDや類縁ジアミンも不使用」の製品を選ぶ。

酸化染毛剤はPPDと交差反応を呈する成分もあるため、酸化染毛剤の使用を控え、ヘアマニュキュア製品を使用する。

・物理染毛(カラートリートメント、ヘアマニキュア)、純ヘナ(Lawsonia主体のレッド系)やインディゴ単体は個別評価の上で検討

・新規使用前は必ずサロンと成分確認。セルフの“パッチテスト”だけで安全判断しない

 

・都薬局宝町店で黒色の毛染め(PPDフリー)が販売されています。

 

■生活

・新しい濃色衣類は一度洗ってから着用。汗・摩擦で色移りしやすい場面はインナーで遮断

・一時タトゥーや眉・まつ毛染色は避ける

■職業

・美容職ではPPDを扱わない配色・工程へ。手袋は“促進剤不使用(accelerator‑free)ニトリル”等を短時間で交換

 

よくある落とし穴

・「PPDフリーでもPTD配合」で再燃

・“ブラックヘナ”=天然と誤信(PPD混入例が多い)

・濃色衣類の汗・摩擦での色移り

・セルフパッチで陰性でも長期使用で感作・再燃

 

使う前のミニテスト

・成分(PPD/PTD等)をまず紙面で確認。サロンでは製品SDSや成分表の提示を依頼

・どうしても試す場合は、限定部位・短時間評価(自己判断での連用は避ける)

お花茶屋くじら皮膚科