虫刺され トコジラミ 南京虫
トコジラミはカメムシ目トコジラミ科に属する昆虫で、俗にナンキンムシと呼ばれています。
2005年頃から海外および国内でも増加傾向を示し、近年では爆発的に増加しています。とくに、宿泊施設内での蔓延が大きな問題となっています。
成虫の体長は約5mm、幼虫は体長1-4mmで1-3ヵ月の間に5回の脱皮をして成虫になります。昼間は室内の壁や柱の割れ目、畳やベット、引き出しの隙間などに潜んでおり、卵もこれらの場所に産み付けます。夜になると成虫、幼虫は生息場所から出て、就寝中の人は露出した皮膚から口器を刺入して吸血します。トコジラミはカメムシの仲間なので、独特のにおいを出します。
トコジラミは吸血中に口器を刺し変えるため、数個の紅斑や丘疹が狭い範囲に集中して認められることがあります。
トコジラミによる吸血場面を確認できれば容易に診断が確定します。トコジラミ刺傷で即時型反応が出現する体質の人であれば吸血の直後にかゆみを感じるので被害に気付きます。しかし、大半の人は遅延型反応として皮疹が出現するので、旅行や出張中の宿泊施設内で吸血されて1-2週間後に皮疹が出現した場合は、原因不明の虫刺症と診断されやすいです。
治療として他の刺虫症と同様で、ステロイド外用薬での治療となります。
トコジラミは国内の一流ホテルや旅館でも、旅行者のスーツケースなどを介して持ち込まれ、部屋の中で繁殖している場合があります。トコジラミの成虫、幼虫、卵が混入したカバン、スーツケース、家具類、衣類、書類などが持ち込まれ、一般住宅内でも定着します。現在国内で蔓延しているトコジラミは大半がピレスロイド系殺虫剤に抵抗性を獲得しているので、一般的な家庭用の殺虫剤では駆除は困難で、専門業者に依頼する必要があります。
Dr.夏秋の臨床図鑑/虫と皮膚炎 夏秋優 参照
下記リンクも参照してください。