コバルト アレルギー
コバルト(Co)は原子番号27の元素で,鉄族元素の一つである.安定した結晶構造をもち,銀~灰色の金属である.ニッケル・クロム・モリブデン・鉄・タングステンなどとの合金は産業用として‘また,歯科医療や外科手術などでも使われている。 さらに,リチウムイオン二次電池の正極材として用いられ,携帯電話など小型デジタル機器の急速な普及により需要が増大している.
ポイント
・金属接触源(アクセサリー、衣類の金具、工具)と顔料由来(化粧品・タトゥーインク・染料)の曝露をまず回避
・汗と摩擦で溶出が増えるため、肌を乾かし、直接接触を避ける工夫を徹底
・医療・歯科で「コバルト陽性」を申告(歯科金属、整形用金属、補綴材料、医療機器の選択に影響)
避ける・注意する製品カテゴリ(代表例)
■装飾・衣類
・アクセサリー(ネックレス、指輪、ピアス、時計、ブレスレット)
・ベルトバックル、ジーンズのボタンやリベット、下着のホック
・眼鏡フレーム(メタル)
・革製品、接着剤、エナメル、粘土、ポリエステル系プラスチック
■生活・仕事
・鍵、文具金具(クリップ、ホチキス針)、工具類、DIY部品
・スマホやイヤホンの金属エッジや接点(ケースで遮蔽)
■化粧品・色材
・青色顔料(コバルトブルー:アルミン酸コバルト)・緑色顔料(コバルトグリーン:亜鉛とコバルトの複合産物)、ネイル顔料、ヘアダイの一部、絵具、クレヨン、印刷インキ、陶磁器のうわぐすり
・タトゥー・アートメイクの青・緑・黒系インク
■医療・歯科・補綴
・一部の歯科用合金(Co‑Cr合金など)、整形外科インプラント、医療機器部品
・ビタミンB12製剤(構造の中央部にコバルトを含む)
■産業曝露
・研磨・溶接・メッキ・工具製造、セラミック・顔料製造、電池(リチウムイオン)関連粉じん
■食品
・チョコレート,ココア、豆類、ナッツ類、胚芽、貝類、香辛料、ビール、キャヘツ,レハー、全粒小麦粉
ラベルや表記での見分け方(避けるキーワード)
・Cobalt、Cobalt chloride(塩化コバルト)、Cobalt sulfate(硫酸コバルト)
・Co、CoCl2、CoSO4、Cobaltous、Cobaltic
・合金名:Co‑Cr、Stellite など
・顔料・染料での表示例:C.I. 77346(コバルトブルー)、Cobalt aluminate 等
交差・関連の注意
・ニッケル・クロムとの同時感作が比較的多い
・ニッケルフリー表記でも微量コバルト混入がある場合があるため、反応が続く場合は材質変更を検討
回避と代替のコツ
■装飾・衣類金具
・チタン、プラチナ、K18以上、プラスチック、セラミック、シリコン製へ切替
・金具部は透明マニキュアや保護テープでコーティングし、当て布を追加
■日用品・電子機器
・スマホはケースで全面覆い、金属エッジに直接触れない
・鍵や工具は手袋(綿インナー+ニトリル)で扱う
■化粧品・色材
・「コバルトフリー」「無機顔料不使用(該当色)」などの製品を選ぶ
・ブルー・グリーン系の高発色は成分確認。ネイル・アイシャドウは事前パッチで確認
■医療・歯科
・歯科はコバルト含有のない材料(貴金属合金、セラミック、ジルコニア等)を相談
・皮膚に接触する医療機器・装具はカバーや代替材で調整
皮膚ケアとバリア
・発汗時は早めに洗浄・乾燥。外出時は汗拭きと着替えを用意
・擦れる部位はワセリンを薄く塗布し、布で被覆して直接金属接触を避ける
・早乾性のクリアコートにより、製品からコバルトが溶出しないようにするコーティングも有効です
■クリアコート
・透明マニキュア(トップコート)
最も手軽。数日〜1週間で摩耗しやすいので頻回に塗り直しが必要
・ 透明樹脂コート(アクリル/ポリウレタン/エポキシ系)
ホビー用や金属小物用の「クリアシーラー」「ニッケルバリア」など。耐久性はマニキュアより上
・保護フィルム・テープ
透明PUフィルムや布テープで“当たる面”だけ覆う。貼り替えが簡単
・かぶれが続く場合は、コーティングより「材質変更」(チタン、プラ、セラミック、K18以上など)を優先
よくある落とし穴
・「サージカルステンレス」でも個体差や製品差で微量溶出により反応することがある
・ブルー・グリーン系コスメやネイルの顔料、アートメイク・タトゥーインク
・作業着の金具、リュックの金属パーツ、イヤホン・眼鏡の金属接点
使う前のミニテスト
・新しいアクセサリーや化粧品は前腕内側や耳後部で24〜48時間の試し接触
・反応が出たら中止し、材質・成分を記録



